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こっぱずかしい魚水っぽいネタだぜ!!夜中に思いついちゃったから突然書いちゃうんだぜ!!
『たったひとりのらくえん』
誰が言ったか、確か趙雲あたりが酔っ払って言ったような気がします。
それこそ何の気なしに、誰も変な気分になったりはしなかったでしょうね。
「もしも、たった一人の犠牲ですべての民が助かって、そのたった一人を選べるとしたら誰を選びますか?」
殿は迷わず「民のためなら私が真っ先に犠牲になろう」とおっしゃって、義兄弟の二人に兄者が居なくなったら私達はどうしましょうか、と諌められました。その様があまりに必死だったものでどっと宴の席は笑いの渦です。
そしてそのお話は飛び火して俺だったら、それがしだったらと誰もが勇を競うように自分の名前を挙げます。「否、是非逆賊曹操を!!」と馬超殿が推挙しますと、皆が「おお!!」と手を打ちました。彼も大概酔っ払っています。馬超殿の言葉の後は憎い相手の名前を誰もが挙げ始めます。それでも自分が、いやあいつが、思い思いの名前が挙がります。
その中で義兄弟の二人は答えました。
「私達はすべての民を犠牲にしても、兄者を守りとうございます。」
「皆、兄者についてくだろう!?」
最初の質問を覚えているのか知りませんが、酷く効率の悪いことをおっしゃいますが言わんとしていることはその席に居るすべての人が理解しました。
「滅多なことを言うんじゃない、翼徳、雲長まで。」
殿が諌めて、周りに同意を求めようと周りを見渡しますが、皆、不遜な笑みを浮かべております。
「殿、申し訳ございません!!」
「私達、関将軍、張将軍に賛成です!!」
酔っ払ってろれつが回らなくなった馬超殿と趙雲殿が叫び、わぁ、と歓声が起こります。
殿は少し困ったような、嬉しそうな笑みを浮かべて、ちらっと私を見ます。
(後で話しがある)と唇の動きだけで言われたので私は頷きました。
宴会が終わって、私達は中庭に往きました。殿は落ち着かないようで池の周りをぐるぐる歩き回ります。私もその後ろを、月明かりで出来た薄い影を踏まぬように歩きました。
「孔明は、さっきの問いにどう答えようと思ったのだ」
唐突に殿はおっしゃいました。逆光でよく御顔は見えませんが多分宴会の終わりから、ずっと同じ顔をしていらっしゃるのでしょう。
私はつい、羽扇で口元を隠す癖がありますので、私が何を考えてるかわからなくて殿は困っているようでした。どうしても笑ってしまいそうになったので殿から視線を外して、池に視線をやります。
水面の月は不安げに揺れ、それでも眩しいほど明るくありました。
「そうですね、私でしたら誰も犠牲にならぬ方法を考えるでしょう。」
顔を隠さずに笑って見せましたが、それでも殿は不安なお顔をなさっています。勿論言葉に偽りは無いので、何か悪いことを言ったかと思いました。
「お前の才能を疑うわけではないのだが、それでも、駄目だった場合はどうする?」
申し訳なさそうに殿はおっしゃいました。気にする事は無いですよ、と言うべきか迷いましたが、気を使ってくださったのが嬉しかったので黙っておきました。
「そうですね、私が犠牲になりましょう。」
「それは困る。お前が居ない世で、私達は如何して生きようか。」
「すべての民が助かるのですよ?」
「そうでない、命は助かったとして、お前の居ない世で幸せに生きていく自信は無い。」
墨が紙に滲みるようにその言葉は私の心を染め上げて、なんとも切ない気分にさせました。嬉しかった。ただそれはとても悲しい言葉でもありました。
「殿、人は何れ死に逝くものです。私か貴方、どちらかが先に亡くなるのですよ。」
出来るだけ優しく諭すように言ったのに、殿はまた困った顔を致します。
「わかっておるのだ。わかっているのだが、どうしても切ない。」
「ええ、その通りですね。」
そう言ったきり、二人は何も言いませんでした。虫の声を聞きながら月が消えるまで池を眺めておりました。
あの問いの理由を申しそびれましたが私は誰かが居なくなるのが嫌でした。何れ死に逝くもの、と自分で言っておきながら臆病なものです。
それにしても、皆が幸せに生きる様を思い浮かべながら死んでゆけるのなら幸せではないかと思ったのです。
皆が幸福な世界が私には一等、幸せな世界なのです。
そのくせ、私は最期に残ってしまいました。
皆、死んでゆきました。共に生き残った馬超殿は笑うことが少なくなりました。
現実は上手く行かないものです。何が、一人の犠牲も出さずにだ。私はどれだけ殺した。殿が信じたことを何一つ遂げられなかったじゃないか。
通り過ぎてしまった人はもう二度と帰ってこない。それでも私は絶望いたしません。
新しく、私の名前を呼ぶ人たちが生れました。
「姜維」
「なんでしょう、丞相」
「貴方はもし、たった一人の犠牲ですべての民が助かって、そのたった一人を選べるとしたら誰を選びますか?」
頭を抱えて悩む彼らを見ているのはとても微笑ましいことです。
私はまたあの宴の日、殿にした話を彼にするでしょう。
私は確実に彼よりも先に死に逝くから。
彼が望みをなくさぬように、生きてゆけるように。
幸せで居てくれるように。
私は一人、貴方達が幸福に生きるところを思い浮かべて死にましょう。
おなじゆめをみていよう
おわれ!!
あとがき
死亡フラグ立ってる米(まだ死んじゃいない)と、仲良し蜀が書きたかった。皆殿が大好きだよ!!
他の国バージョンもやりたいです。魏とか 魏とか 魏とか
<小声>でも魏の最期ってよくしらないんだよね…</小声>
呉は多分策瑜で始まり終わるんだと思う。私の呉が主役の三国志はあの二人が幸せに生きてた時代だけだ。
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