眼鏡と吸血鬼の一日目。

ナカユリです。↓


「後、３日」

月が落ちる。
此処一ヶ月皆、その話題で持ちきりだった。
何日か前に、月は大気圏ギリギリの高さまで近付いてきた。家族でどこかに逃げたものも居る。教室は相変わらず煩かったけれど、自分はこんな所に寂しさを感じていた。
屋上から飛び降りようと思うほど、嫌っていたこの場所に対して、だ。
唇から小さな笑い声が漏れた。ため息に近かった。


駅前は閑散としていた。自分がギタァを持って歌っていても相変わらず人は立ち止まらない。
だけど、同じようなことを始める人間が増えた。
十メートルも離れない所で少女達が世界の終わりを歌っている。遠くから絶望を叫ぶ男の声が響いた。
自分はというと、相変わらずいつもと変わらない歌を歌っていた。
あの人も、きっとそうなのだろう。
銀色の髪を振り乱して、緋色の眼球で世界が終わるその瞬間まであの人は、きっと、


「後３日」


誰が言ったのかわからない。
偶然に耳に入ったのだ。
後３日。
後３日で落ちる。
噂だろう、ただの。
しかし、居てもたっても居られなかった。
あの人に逢わなくては。
きっと、何も信じられないあの人は、四日後の予定なんか立てて紅茶なんか飲んでいるに違いないのだから。


居てもたっても居られなくて走り出した。
「未来なんて信じちゃ居ない」
あの人はそう言うけれど。
来ない明日を、あの人はきっと悲しむだろうから。





現在書いてる文章…スマユリは出来たけどアシュリの前にナカユリ書いてるって話。