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絵茶の最中しこしこ書いたよ!!
玄米だよ!
玄米だよ!
「dumb!」
綺麗だ、綺麗だと劉備は言いながら孔明のてのひらを撫でる。親指の付け根を辿ったその指は、新しい紙を広げて、皺を伸ばすその時の仕草でぎゅっぎゅっと掌の中心を撫でる。
くすぐったさに手をひっこめようとしたら、もう一方の手で手首が掴まれているものだからそれができずに、身をよじって悲鳴を上げそうになった。
顔をあげるとにやり、笑った劉備と目が合う。
また、この人は調子に乗って。
唇をかみしめて孔明は黙る。それを見て彼の君主の口元は挑発的に歪む。咎めることも、逃げることも注意深い彼の頭に掠めもしないのは、それが大人の色を含んだ表情ではなく、悪戯をしかける子供のそれに似ているからだろうか。
声を出したら負け。親指が掌にゆっくり刻んだ。
さて、お互い意地っ張りの頑固者なものだから、声を上げずに耐えること数刻。
付き合いはもう何年になるか、なかなか長い二人は、どこをどう撫でれば気持ちいいか、彼がどう撫でてくれるか、知り尽くしている。
なかなか状況は変化しない。そろそろ劉備は飽きてきたのだろう。親指は、掌を撫でるのをいつのまにかやめていて、とん、とん、と太鼓のように拍子を取り出した。
しかし、この人はそれでも自分から折れることはなかなかしないのだ。
いつもなら劉備が飽きたのを見計らって(大体その頃になると孔明も飽きている)、私の負けですよ、と言っておしまいになるのだけれど、今日は少し意地悪な気持ちが顔を出した。
飽きてしまって退屈そうに宙をかいていた手首を孔明は掴んで、裏返す。
突然の状況変化に驚いた劉備は声を出しそうになった。
それでも耐えてみせて、得意げに笑う。しかし目の前の男は全く動じず寧ろ不敵に笑っているではないか。
「……?」
孔明は、しっかり手首を掴んで掌を上向け、そこに唇をつけた。
「…お、おおっ!?」
あ、と思ったらもう遅かった。掌に埋まった顔が、視線だけで「私の勝ちですよ」と訴える。
暫く悔しそうにしていたが、結局溜息をひとつ吐いて諦めた。
「孔明、今回はそなたの勝ちだ。」
孔明は顔を上げない。それどころか、指の付け根に舌を這わしたりしている。
「…孔明、聞こえているのか?お前の勝ちだ。頼むから顔を上げれくれないか。」
孔明、ともう一度懇願するように劉備は言ったが、孔明は全くの知らんふり。
うるさいですね、我が君。
私だって、我が君の掌が好きなのですよ。とても、うつくしい、人間のてのひら。
剣を握ったために出来た肉刺。筵を織るときに出来た跡。深爪ぎみの指先も、全部全部好きなんです。
だから、今日ぐらいは私が貴方に綺麗だと言ってもいいでしょう。
そうは言ってもいつもはおしゃべりなその軍師は、今日ばっかりは無口。
貴方を表す言葉を探すために、もうしばらく触れていてもいいでしょうか。
誰に言うわけでもなく、心の中でそっと言い訳をした。
綺麗だ、綺麗だと劉備は言いながら孔明のてのひらを撫でる。親指の付け根を辿ったその指は、新しい紙を広げて、皺を伸ばすその時の仕草でぎゅっぎゅっと掌の中心を撫でる。
くすぐったさに手をひっこめようとしたら、もう一方の手で手首が掴まれているものだからそれができずに、身をよじって悲鳴を上げそうになった。
顔をあげるとにやり、笑った劉備と目が合う。
また、この人は調子に乗って。
唇をかみしめて孔明は黙る。それを見て彼の君主の口元は挑発的に歪む。咎めることも、逃げることも注意深い彼の頭に掠めもしないのは、それが大人の色を含んだ表情ではなく、悪戯をしかける子供のそれに似ているからだろうか。
声を出したら負け。親指が掌にゆっくり刻んだ。
さて、お互い意地っ張りの頑固者なものだから、声を上げずに耐えること数刻。
付き合いはもう何年になるか、なかなか長い二人は、どこをどう撫でれば気持ちいいか、彼がどう撫でてくれるか、知り尽くしている。
なかなか状況は変化しない。そろそろ劉備は飽きてきたのだろう。親指は、掌を撫でるのをいつのまにかやめていて、とん、とん、と太鼓のように拍子を取り出した。
しかし、この人はそれでも自分から折れることはなかなかしないのだ。
いつもなら劉備が飽きたのを見計らって(大体その頃になると孔明も飽きている)、私の負けですよ、と言っておしまいになるのだけれど、今日は少し意地悪な気持ちが顔を出した。
飽きてしまって退屈そうに宙をかいていた手首を孔明は掴んで、裏返す。
突然の状況変化に驚いた劉備は声を出しそうになった。
それでも耐えてみせて、得意げに笑う。しかし目の前の男は全く動じず寧ろ不敵に笑っているではないか。
「……?」
孔明は、しっかり手首を掴んで掌を上向け、そこに唇をつけた。
「…お、おおっ!?」
あ、と思ったらもう遅かった。掌に埋まった顔が、視線だけで「私の勝ちですよ」と訴える。
暫く悔しそうにしていたが、結局溜息をひとつ吐いて諦めた。
「孔明、今回はそなたの勝ちだ。」
孔明は顔を上げない。それどころか、指の付け根に舌を這わしたりしている。
「…孔明、聞こえているのか?お前の勝ちだ。頼むから顔を上げれくれないか。」
孔明、ともう一度懇願するように劉備は言ったが、孔明は全くの知らんふり。
うるさいですね、我が君。
私だって、我が君の掌が好きなのですよ。とても、うつくしい、人間のてのひら。
剣を握ったために出来た肉刺。筵を織るときに出来た跡。深爪ぎみの指先も、全部全部好きなんです。
だから、今日ぐらいは私が貴方に綺麗だと言ってもいいでしょう。
そうは言ってもいつもはおしゃべりなその軍師は、今日ばっかりは無口。
貴方を表す言葉を探すために、もうしばらく触れていてもいいでしょうか。
誰に言うわけでもなく、心の中でそっと言い訳をした。
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