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ホモ好きヲタクなはっちゃけ日記。
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企画倒れという言葉が板についてきました、蛙田です。
今回は『最近まともに二次創作やってねえな』とかふいに思ったので一日一作一週間三国小説を上げたいと思います。
もうこのサイトに何度か遊びに来た方はわかると思いますが私が目標を達成できる確立はゼロどころかマイナス突き抜けてます。

なので今回もうちょっと一週間頑張れたら褒めてあげたほうがいい。自分で自分を褒めてあげたい。出来てからこういうこと書きましょうね、取らぬ狐の皮算用だっけ?そんなかんじ。

国語の教科書に載ってた作品をテーマにして丁度今日から一週間頑張ってみます。最初はなぜか趙馬だぜ!!続きからどうぞ


『惨月記』 趙馬 ※流血表現(カニバ?)注意!!


夢を見た。それが凶夢か吉夢だか趙雲は卜には詳しくないからわからなかったが何処と無くそれは淋しい予感をつれて来た。
千丈もある雪の中に顔を伏せて倒れているところへ多くの猛獣が飛び掛ってきたのだ。あわや襲われると思ったときに猛獣が振り向くのだ。
瞬きをする間にそれは居なくなり、代わりに先ほどの猛獣をすべてあわせたほどの大きさの巨大な虎が人を食っている。
どのような人だったか目覚めた衝撃でもう覚えては居なかったが食べられながらもその人は虎の背に腕を回しそれを抱きしめようとしていた。
虎はその人を食おうとしているのだが引きずり出した内臓はつるり、と雪中に滑り落ちてしまう。温かそうな葡萄酒色の血液は虎を弾いて白雪に滲みてゆく。
虎の飢えは全く満たせていないようだった。
人も、虎も苦しそうなつらそうな表情をしている。
それを動かない身体で眺めていた。
目覚める直前苦しそうなうめき声を聞いた。自分の声だった。

夢について質問するのなら本来は諸葛亮に尋ねるのがいいだろう。彼ならそれが何を暗示しているのか的確に答えてくれるに違いなかった。
それなのにまだ夜も明けぬうちに趙雲は馬超の屋敷の前まで来てしまっていた。閉め切られて明かりも消えた彼のうちは何処かよそよそしく感じ、毎日通っているあの場所とは思えなかった。少し恐ろしくなって、淋しくなってどうしようかと迷っていたら家の主の寝室の前に立っていた。
壁一枚向こうが恋しかったが折角眠っているのをわざわざ起こすのも失礼だろう。しかし、ここまでやってきて何もしないで帰るのも返ってもし誰か目撃者が居れば変質者ではないか。
「趙将軍、用があるなら声をかけてくれ。誰が見ても今の貴殿は不気味に見える。」
「起こしてしまったか」
「あれだけ派手に足音を立てられれば嫌でも目が覚める」
「馬将軍は神経質ですね」
「貴殿が無神経なだけだろう」
上がれ、と促されて素直に玄関に回る。やけに嬉しそうだと怪訝な顔をされたが心細かったことが理由だとはまた馬鹿にされるから言わずにいた。

月明かりが眩しいほどだったから面倒くさがって馬超は明かりをつけなかった。青白い光の下では色素の薄い髪が余計に白く見える。明かりを透かして光っているようだった。趙雲は言うわけでもない麗辞を頭の中で考えていたら馬超にため息をつかれた。
「貴殿は一体此処へ何しに来た。まさかただ俺を眺めに来たわけではあるまいな。」
「そうかもしれぬ」
茶化すな、と手元にあった簪を投げられる。
「夢を見て、凶夢か吉夢か聞いてみようかと思って」
「そういうことなら丞相にお尋ねするのが良いだろうが」
「この時間お休みになっておられよう」
「俺も眠っていたのだが」
「丞相の目覚めの悪さを知っていれば誰だって近寄りたくあるまい」
それはそうだ、とその時初めて馬超は笑った。
諸葛亮の目覚めの悪さは軍の中でも大変有名で寝起きの彼に大きい声で話しかけないのは暗黙の了解として(但し、殿除く)語られている。前に元気よく話しかけた兵卒が寝ぼけた彼に理不尽に無双乱舞を喰らったり空気が読めなかった時代の馬超が羽扇の柄の部分で思いっきり殴られた事は記憶に新しい。

その流れで趙雲は今夜見た夢の内容を馬超に語った。黙ってはな詩を聞いていた彼は眉を顰めて何か苦いものを噛み潰したような顔をした。
気にはなったが気を使って話をやめると逆に機嫌が悪くなるから何も気付かない振りをして趙雲は話を終えた。
口を閉じた趙雲にむかってため息のような声で馬超は言う。
「それは間違いなく凶夢だ」
「どうして」
「…俺も、父上が亡くなったときに雪原に虎が居る夢を見た。」

「申し訳ない」

言葉が出なかった。気にする事は無いといった彼の目はもう趙雲を見ていない。
青白く照らされたその姿までが知らない人のような気がして酷く心細かった。
黙したまま別の所を見ていた。月が空の色に溶ける頃弾かれたように趙雲は頭を上げた。

「思い出した」
「は?」
「食われていたのは貴方だ、馬将軍」

趙雲の嬉しそうな顔を見て馬超は言葉を失う。

「それは、喜ばしいことか」
「あっ…失礼致した」
「全く…」

舌打ちされた。仕方ない。趙雲は肩をすくめる。

「ああ、しかし残念だ。」
「は?」
「夢の中でさえ俺は虎になれなかった。」

その夢の中でただただ白い世界の中で人の流した赤は広がり、虎の毛は先のほうが凍っていて金に輝いてた。混じる所は一つも無いのだった。
苦しげな表情で抱き合う獣と人は歪で、悲しかった。
動かないからだが人形のような身体が憎たらしかった。
もしもあの二つを引き剥がすことが出来たなら。虎の口に無理やり肉をねじ込むことが出来たなら。

月は探さないと見えないほど薄い色に溶けてしまっていた。


虎に支配されて 虎になれなかった かわいそうな矜持のおはなし



了。



……しまった…!!オチが自分でもよくわからねえ!!どこら辺が山月記だかよくわからない仕上がりになりました。最初の描写の馬鹿丁寧さと中盤の投げやり具合を比較するという楽しみ方が多分一番正解だと思います。吉川版の馬超がみていた夢を読んで虎はこれから馬超が背負っていく復讐のためのプライドみたいなものだったんじゃないかなーと思ってお父さんの死じゃなくてこれからの運命を暗示してたんじゃないかな…とか勝手に思ったのがことの始まりでした。
そして案外時間がかかった…!!がっつり二時間書いてました。ウフフ、バーカ!!この調子じゃあと六日間不安で頭が痛いです。



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